2017/01/25
【レーシックの合併症・後遺症まとめ】副作用の問題と発症確率とは
目次
合併症と後遺症の違い
レーシックの手術では、よく合併症や後遺症のリスクがあると言われますが、合併症と後遺症の違いをご存知ですか?
合併症とは「治療が可能な一時的な症状」で、症状が永久的に残ることはありません。
一方後遺症は症状が半永久的に残ってしまい、症状を解消するためには移植などの手段を取るしか方法がなくなる事を言います。
そもそもレーシックのガイドラインでは、レーシックの矯正を行うことができる人として、
- 患者本人が充分な判断や同意を行うことが出来る18歳以上、又は未成年では保護者の同意がある
- 遠視、近視、乱視の屈折異常である
- 近視、遠視のレーシックでは矯正量が6Dまでである
- 近視のレーシックで、手術後に角膜が充分に残る
という条件があります。
今はきちんとガイドラインに沿ったクリニックが多くなっていますが、クリニックを選ぶ際にはこのような規定がきちんとされているかも確認すると良いですね。
レーシックの合併症・後遺症
レーシックの手術は成功率はかなり高いですが、少なからず後遺症や合併症が出てくることがあります。
術後すぐに現れてくることもありますが、多くは半年から長い人が数年を経過した後に、症状が現れてくるケースもあります。
では、一体どのような合併症や後遺症があるのでしょうか?
ドライアイ
コンタクトレンズを使用している人は、よく耳にするのではないでしょうか?
ドライアイは、涙が極端に減ってしまうことで眼が異常に乾燥してしまう症状を言います。
レーシックでは角膜を切るためにレーザーを照射しますが、その際に神経も切断してしまい、目が乾いたと判断する働きが鈍くなってしまいます。
通常は点眼液をきちんと行うと、神経自体は時間とともに自然と回復していきますので症状も改善されていきます。
ハロー・グレア
ハロー・グレアはレーシックの代表的な後遺症の1つで、夜間での光が放射状にギラギラと光って眩しく視力が悪くなってしまう現象をいいます。
ハローは光がにじんでぼやけて見えることで、グレアが光が眩しく見えることを言い、これらを合わせてハロー・グレアと言います。
ハロー・グレアになる原因として、瞳孔の大きさがレーシックで切除した大きさよりも大きくなった時に、光が乱反射して発症してしまい、特に術後すぐに起きやすくなります。
しかし、術後3ヶ月程度すると自然と回復してくることが多くなりますので、心配しすぎないで大丈夫です。
もし悪化していったり、長期間ハロー・グレアが治らない場合には、医師に相談しましょう。
過矯正
過矯正とは読んで字のごとく、視力の矯正を強くしすぎてしまい、かえって眼精疲労がたまってめまいなどの症状が出ることを言います。
元々視力が良い人は別として、本来視力が悪い人が矯正する場合には2.0や1.5くらいまで良くしてしまうと見え方に慣れず、頭痛や吐き気、めまいといった症状が出てしまうことがあります。
レーシックで近視を改善するときに、一時的に視力が下がってしまう場合があるのでクリニックによっては少し強めに矯正したり、患者の希望の度数を矯正してくれたりと過矯正の原因は様々考えられますが、あまりにもめまいや頭痛などの症状がひどい時には遠視矯正の手術をしなければならない事があります。
異物感、鈍い痛み
レーシックではレーザーで角膜の一部を切除しているので、角膜の神経も切除されてしまいます。
そのため術後は異物感があったり、疼痛や鈍い痛みがある場合があります。
ドライアイになった場合も、涙が少なくなり眼の表面が乾燥した状態になるので異物感が起きることもあります。
この異物感は、角膜が自然に治っていくのと同時に解消されていくことがほとんどなので、あまり心配しすぎなくても大丈夫です。
もし異物感がなくならない場合には、クリニックに相談して点眼薬を処方してもらったり、改めて診察を受けてみましょう。
近視戻り
近視矯正のためにレーシックを受けた場合、時間が経つと近視が戻ってしまうことがあります。
これは多くの場合、元々強度の近視であったことや、レーシック後に目を酷使したことが原因です。
レーシックをしたからといって眼を酷使せず、パソコンなど目の負担になる事をする場合には、休憩を取りながら行いましょう。
視力低下
視力低下も近視戻りとよく似ており、レーシックを行った後に視力が悪くなってしまうことを言います。
クリニックによっては、近視に戻ることを近視戻り、近視や遠視、乱視による視力が悪くなることを視力低下と区別している事があります。
また、術後は一時的に視力が安定しない場合がありますが、時間とともに安定して視力が回復することもありますので、少し様子をみてみることも大切です。
レーシック自体が失敗したのではなく、術後の生活のしかたなども影響してきますので、視力が回復したら再び視力が低下しないよう、あまり負担をかけないようにしましょう。
層間角膜炎(DLK)
層間角膜炎とは、レーシックで作るフラップと、その下にある角膜実質層との間に細胞が入ってしまうことが原因です。
痛みや目の不快感、視界が不鮮明になるなどの症状が現れたりします。
中には角膜混濁といって角膜が濁ってしまう症状以外は無症状の人も多く、角膜混濁だと思って病院へいったら実は層間角膜炎だったというケースもあります。
層間角膜炎は術後すぐに現れることが多く、適切に治療を行えば心配いらない事が多いですが、症状が進行してしまうとサハラ砂漠症候群や視力低下など深刻な症状につながることがありますので、すぐに手術を行った病院へ連絡して診察してもらいましょう。
フラップ異常
手術で作るフラップにシワが入ったり位置がずれたりしてしまい、そのまま角膜がくっついてしまうことがあります。
術後すぐであれば、その日にフラップを正しい位置に戻すことができますが、日にちが経った場合にはフラップを縫合して位置を正します。
これで後遺症などになることはないので、安心してください。
角膜感染症
レーシックの術後に、角膜が感染症を起こすことがあります。
感染症はストレスなどで自己免疫力が低下している場合に起きやすくなるのですが、レーシックの術後に角膜感染症を発症した場合には、病院側に問題がある場合があります。
今は多くはフラップを作るのはレーザーですが、中には器具を用いて角膜を切開するクリニックもあり、その器具の消毒が不十分であると角膜に細菌がはいりこんでしまい感染症をおこしてしまうのです。
症状としては白目が充血してしまったり、角膜が白くなってしまったり、視力が低下してしまいますが、角膜感染症の場合だと自然に治癒することはなく、必ず病院で薬をもらい服用したり点眼しなければなりません。
放っておくと最悪の場合視力が著しく低下したり、失明する可能性もありますので、充血が治まらない場合などはすぐに診察をしてもらいましょう。
現在はきちんとした医療機関でレーシックを受けるのであれば、角膜感染症を起こすことはまずありませんが、レーシックを受ける際にはくれぐれも信頼できる医師とクリニックを選ぶことが大切です。
角膜混濁
角膜混濁とは角膜上皮下混濁ともいわれ、角膜がレーザーに反応して白く濁ってしまう症状で、視界がかすんだり充血を起こすことがあります。
現在はレーシックの手術技法が少し変わったために、角膜混濁の発生は減少してるのが現状です。
角膜混濁は、術後すぐから2週間の間に最も発生率が高くなります。
多くの場合自然と透明に戻りますが、透明に戻らなかったり混濁がどんどん悪化していく場合には、点眼薬やレーザーを照射して濁りを改善するという治療方法を行います。
角膜拡張症
角膜拡張症とは、角膜が薄すぎることが原因で前の方向へ円錐状に出てくる病気です。
近視を矯正するために角膜実質層を削りすぎてしまうことが原因で、眼圧に角膜が耐えられなくなって前へ飛び出してきてしまいます。
角膜が前へ飛び出してくると、また角膜のカーブがきつくなり視力が低下してしまったり、乱視を引き起こしてしまいます。
角膜拡張症は基本的には強度近視の人などがレーシックを行った際に起きやすいのですが、事前検査で角膜の厚みが足りていないのに施術してしまった場合など、病院側に原因があるときもあり、この場合を医原性角膜拡張といいます。
この乱視は眼鏡などで矯正できないほどのものであったり、角膜拡張症を放置していると最終的には角膜衣装が必要になってしまうこともありますので、違和感がある場合にはすぐに医師に相談するようにしましょう。
不正乱視
不正乱視とは、角膜がきれいなカーブではなく凹凸があるために、焦点が結ばれることがなく乱反射してしまい、対象物がぼやけて見えてくるものです。
不正乱視はレーシックを受けなくてもなることがある症状ですが、実はレーシックの失敗による代表的な後遺症の一つでもあります。
レーシックは角膜を削り屈折異常を矯正しますが、手術でフラップを作成する際に均一なフラップにならなかったということが不正乱視を発生させてしまいます。
不正乱視になると不正乱視を矯正できるウェーブフロントレーシックを行い再手術することになりますが、角膜の厚みが充分確保できないと行うことができません。
サハラ砂漠症候群
サハラ砂漠症候群とは、レーシックの後遺症でもなかなか起こらない後遺症です。
フラップの下に点状の砂のような模様の混濁が見える、視力が低下する、視界が不鮮明になる、などの症状があります。
サハラ砂漠症候群になると、フラップを剥がして洗浄し、抗生物質を投与することでかなり症状は改善されます。
サハラ砂漠症候群は原因ははっきりとわかっておらず、洗浄液の残留や点眼薬の過剰反応などの説があります。
ステロイド緑内障
レーシックでは治療の際にステロイドを点眼するのですが、そのステロイドが原因で眼圧が上昇し、視野がだんだん狭くなってしまう緑内障を発症してしまうことがあります。
緑内障は、放置していると失明のみならず耐え難い頭痛や吐き気などに悩まされることがあり、くも膜下出血と間違える症状が現れてきます。
ステロイドは副腎皮質ホルモンで、アトピーなどのかゆみどめに多く使用されているので、使用したり聞いたことがある人もいるかもしれませんね。
ステロイドは特にステロイドレスポンダーといって、ステロイドに過剰に反応してしまう人がおり、そういった人がレーシックの際にステロイドを投与されると眼圧が急上昇し、そのまま放置すると視野がどんどん狭くなっていってしまいます。
(緑内障)
ステロイド緑内障の初期症状はレーシックの術後の症状とよく似ており、目が乾きやすい、目がかすむなどが多く見られますので、術後の一過性のものだろうと放置されやすくなり、気がついた時には緑内障が進行してしまっていることがあります。
びまん性表層角膜炎
びまん性表層角膜炎とは、角膜上皮層に発生する点状の傷(びまん)のことで、視界が白くぼやけて不明瞭になる症状です。
コンタクトレンズなどの着用でも起きることがあり、異物感があったり鈍い痛みが症状として併発することがありますが、多くは点眼薬をきちんとさしていれば、治癒します。
放置して症状が悪化すると、フラップをめくって洗わなければならなくなるので、放置しないようにしましょう。
いつ頃から症状は現れてくるの?
合併症や後遺症の症状は個人差が大きく、一概にいつ頃から現れるか、断定することはできません。
多くの症状は術後すぐから3ヶ月までに発生することが多く、その後自然と治癒していきます。
しかし、中には術後数年経過してから視力が一気に悪くなったり、何らかの症状が出てくるケースもあります。
クリニックによっては長期間保証してくれるところもありますので、数年が経過していてもまずは連絡して診察を受けてみましょう。
もしも症状が出た場合にはどうすればいいの?
レーシックを受けて何もトラブルがなければ良いですが、もし気になる症状が出てきたらどうしたらよいのかわかりませんよね。
素人には判断しかねる症状であったり、放っておくと症状が悪化してしまう場合もあります。
では、症状が現れたらどうすればよいのでしょうか?
まずは医師に相談を
術後何かトラブルや異変が現れた場合には、まずは手術を受けた医師に相談することが1番良いでしょう。
術前検査のデータもあり、目の状態も把握しているので、術後の一時的なものなのか、再手術が必要になるかもう一度きちんと検査を行って判断してくれます。
合併症、後遺症が発生する確率は?
レーシックは比較的安全性の高い手術ですが、もちろんリスクはゼロではありません。
レーシックを行った後何らかの症状が現れている人は、全体の約50%、深刻な後遺症になると全体の約5%ほどだと言われています。
しかし、適切な医師が適切に治療を行えばかなりリスクを減らすことができますし、日本ではレーシックが原因で失明になったという事例は発生していないので、きちんとした病院であればレーシックを行って失明するということはありません。
そのためにも、病院やクリニックを選ぶときは慎重にならなければなりませんね。
再手術になる可能性も
合併症や後遺症の症状によっては、もう1度手術をすることがあります。
視力が著しく低下したり、フラップの洗浄をしなければならない場合などは再手術をして視力を回復させたり、炎症を抑える治療を行いますが、再手術を行う際には角膜の厚さがポイントとなっており、厚みがたりないと再手術を受けることはできません。
レーシックは角膜を削る術式なので、1回手術を行うと角膜は元々の厚さからは確実に薄くなってしまいます。
そのため1回目の手術でギリギリの角膜しか残らなければ、再手術をおこなうことができません。
術前検査で角膜の厚みが十分か、きちんと知っておく必要があります。
もちろん、再手術にならないに越したことはないですが、もしもの場合を考えてしっかりと相談しておきましょうね。
視力が安定するまで時間がかかることも
術後は視力が不安定で、一時的に悪くなったり回復したりを繰り返すことがあります。
術後約3ヶ月程度で視力は安定してきますが、中には個人差があるので長期間安定しない人もいます。
術後1年近くたっても安定しない場合には医師に相談するようにしましょう。
*サイトの情報や紹介している商品は、記事の内容に則して最適だと判断したものを紹介していますが、実際に利用し判断・行動する場合は、ご自身の責任の上で行ってください。
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