2017/02/03

コンタクトレンズ

オルソケラトロジーの治療期間はどれくらい?視力矯正効果の持続時間について

日本語では角膜矯正療法と呼ばれるオルソケラトロジー。日本眼科学会で2009年にガイドラインが作成された、日本ではまだ馴染みの薄い視力矯正方法です。オルソケラトロジーとは一体どういった治療を行うのでしょうか?

オルソケラトロジーの治療はいつまで続くの?

オルソケラトロジーは近視を手術することなく回復できる、今までにない治療方法です。
日本ではレーシックに比べると、知名度はまだ低いものかもしれません。

いったいどのような過程を経て視力を取り戻すことができるのでしょうか?

オルソケラトロジーはずっと続けていく矯正方法

オルソケラトロジーレンズ
出典:http://orthokeratology.mieru-mieru.com/

オルソケラトロジーは特殊なカーブを持つコンタクトレンズをつけて眠ることで角膜にクセをつけ、視力を矯正するというものです。
効果が続いている最中はメガネやコンタクトをせずに、快適に過ごすことができます。

レーシックのように角膜を削る手術を必要とせず、専用のレンズつけるのを辞めることで元の視力へと戻すことも可能です。

オルソケラトロジーの効果は一時的なもの

矯正の対象となる角膜は、とても弾力があり新陣代謝の活発な組織です。
ここにオルソケラトロジー用の特殊なレンズを乗せることで、角膜の形にクセをつけます。

クセをつけることで、目に入った光の屈折率が矯正され、近視を正すことができます。
視力が回復し、なおかつ矯正された角膜の形を一定時間維持できる、というのがオルソケラトロジーの仕組みです。

とはいえ、クセはつくもののオルソケラトロジーで本来の角膜の形自体を変えることはできません。

長期間治療を続けると専用のレンズをつける頻度が減っていきますが、視力を回復し保持をするには、オルソケラトロジーを一生続けなければいけません。
そのためオルソケラトロジーによる治療がいつ終了するのか、はっきりと区切ることができません。

使用をやめると角膜、視力は元に戻る

角膜には弾力がありクセをつけることができると述べましたが、それはレンズの使用をやめてしまうとつけたクセがとれて視力が徐々に元に戻ってしまうということでもあります。

オルソケラトロジーを行っていた期間などにより前後しますが、使用をやめると1ヵ月ほどで角膜は元の状態に戻ります。

通院期間はどれくらい?

医師
オルソケラトロジーのレンズを処方してもらった後は、角膜の状態やレンズのチェックのために定期検診に通う必要があります。

病院によって通院の回数は多少異なりますが、オルソケラトロジーの治療を開始した翌日・1週間後・4週間後と経過の観察のために通院が必要となります。

これに加えて、日本眼科学会のオルソケラトロジー・ガイドラインでは、処方翌日と3ヵ月ごとの定期検診を行うことが定められているため、3ヵ月おきの通院も必要になります。

翌日には必ず細隙灯顕微鏡による観察を行い,異常をチェックする.その後も必要に応じて経過観察するが,スクリーニング検査で挙げた項目については経時的に評価すべきである.処方後 3ヵ月ごとのフォローアップは必須で,一般検査の中で長期経過を見守る必要がある
出典:http://www.nichigan.or.jp/

レンズの装着時間について

最低6時間ほどの睡眠時間が必要

睡眠時間
オルソケラトロジーは専用のコンタクトレンズをつけたまま眠って矯正を行うため、睡眠時間の確保が効果に影響を与えます。
睡眠時間が短いと、角膜へのクセづけ時間が短いということになり、効果を得られなかったり、裸眼で過ごせる時間が短くなったりしてしまうのです。

目安として6時間以上は睡眠をとることが、矯正の効果を得るためには必要となります。
そして、横向きで寝てしまうとレンズがずれる可能性があるため、なるべく寝る時は上向きで眠るほうが好ましいとされています。

また、オルソケラトロジー用のレンズはハードタイプのため、普通のコンタクトと同様に慣れない間は目が痛かったり異物感を感じたりすることがあります。

装用期間が長いと短い時間の装用で済むように

矯正後の視力の持続時間は、オルソケラトロジーの治療期間が長くなるにつれて、コンタクト装用時間が短くても効果を次第に持続できるようになります。

ここで注意したいのが、オルソケラトロジーのレンズの装用時間が長いと視力回復効果も長く続くのではなく、正しい装用「期間」が長いと効果も長く続く、という点です。

一度の装用時間が長すぎると、場合によっては逆にクセが付きすぎて遠視のような見え方になってしまうこともあるため、装用時間を守って長い期間続けることが大切です。

基本は毎日装用する

コンタクトレンズ

オルソケラトロジーは基本的に、毎日の睡眠時に専用レンズを装用するものです。

前述したようにオルソケラトロジーを長く続けていくうちに、矯正された視力を維持できる時間が長くなってきたら医師と相談のうえで、装用の頻度は減ることもあります。

矯正の度合いは個人差がありますが、3ヵ月おきの定期検診で医師と相談しながら装用時間を調整していきましょう。

つけっぱなしはNG

コンタクトレンズケース

オルソケラトロジー用のコンタクトレンズは眠る時に装用するとはいえ、つけたまま長時間放置するのは危険です。

レンズは酸素透過率の高いレンズが用いられていますが、普通のコンタクトレンズ同様に、規定時間以上の長時間の装用は角膜にダメージを与えます。
レンズのケアも怠ることなく、必ず医師からの指示を守って正しく使用することを心がけましょう。

昼間にレンズを使ってもいいの?

オルソケラトロジーは夜間の睡眠中に行うことを基本としていますが、仕事の都合などで日中に睡眠をとる場合は日中に装用しても問題はありません。

ですが、オルソケラトロジーのレンズを処方してもらう際に必ず、医師に日中の装用の旨を伝えるようにしましょう。
睡眠をとる時間が不規則な人も同様です。

どのくらい続く?矯正効果の持続時間について

正しく装用すると1日以上効果が持続する

期間
視力矯正の効果がどのくらいまで延びるかは、個人差や継続期間が影響します。

少なくとも1ヵ月以上継続することで、1日中裸眼で過ごすことができるようになるとされています。

オルソケラトロジー用レンズを一晩装着した場合の視力補正効果は、個人差やもともとの屈折度数による差はありますが、8時間~36時間程度効果が持続します。
出典:http://www.menokenko.jp/

1日つけ忘れたからといって急激に視力が戻ることもない

オルソケラトロジーを続けていて、時に装用するのを忘れて眠ってしまうこともあるでしょう。
を治療開始してある程度装用期間が経っているのであれば、1日空けたからといって急激に元の視力まで衰えることはありません。

長く続けているほどクセがつくので、視力が元に戻るまで時間がかかるためです。
しかし、つけ忘れたのが装用を始めてすぐの場合は、朝起きた時点で視力が元に戻っている可能性があります。

オルソケラトロジー治療期間の経過

オルソケラトロジーでの視力回復は長期間にわたるため、コツコツと行っていく根気が必要です。
ここでは、実際に装用するとどのような変化が起きていくのか、一般的な経過について紹介します。

視力が安定までの期間には個人差がある

どれくらいで視力回復効果が安定してくるかは、元の裸眼視力や目の状態で個人差があります。
早ければ1ヵ月程度、一般的に3ヵ月程度~6ヵ月もあれば安定すると言われています。

治療開始前にオルソケラトロジーができるか適応検査が行われますが、角膜の柔軟性が足りない場合はクセがつきにくいため、視力回復を実感するまでに至らない人もいます。

レンズでの矯正のみで角膜の形を変形するには限度があるため、重度の近視では適用できないことがあります。

装着1日目

1日目
眼科で一度レンズを装着し、問題がなければその晩から装用を開始します。
普通のハードコンタクトレンズ同様に、レンズのケアも忘れずに行いましょう。

慣れないうちはハードタイプのコンタクトレンズに異物感を感じるものの、翌日起きた時から視力回復効果を実感できる人が多いようです。
裸眼のまま壁時計の時間が見える、テレビの字幕が読めるといった体験が挙げられています。

初日の視力回復効果は夜まで続く人もいれば、夜に近付くにつれクセが弱まり薄れていく人もいます。
視力が戻って視界が悪くなると危ないので、度の弱いめがねも持ち歩いておきましょう。

装着3日目

初日にあまり実感のなかった人は、少し遅れて3日目から効果を実感することもあるようです。
少しずつ角膜にクセがついていき、装用時の目の違和感に慣れ始めていきます。

とはいえ、まだ角膜の矯正がしっかりできているわけではないので、午後になると徐々に効果が薄れてしまうこともあります。
処方後3日目に一度検査を行い、このままオルソケラトロジーの治療を継続するか否かの判断を任せる眼科もあります。

装着1週間

早い人は1週間ほどで、日中の間は効果が保てるようになってきます。
半数以上の人の視力が1.0まで回復すると言われていますが、見え方が一定になるまでにはまだ少し時間がかかる状態です。

処方後3日目以外に1週間目にも検査を行う場合もあります。
最初の1週間は効果を実感できるかお試し期間として設けている眼科もあります。

装着2週間

回復した視力の持続時間が夜になっても続くようになってくる頃です。
ここから次第に角膜が矯正された形状に安定していく過程に入ります。

オルソケラトロジーを行う生活に慣れたところで装用するのを忘れてしまうと、視力がやや戻ってしまう可能性がありますので要注意です。

装着1ヵ月

日によって視力や見え方に生じていたムラが落ち着いてきます。
1ヵ月あればすぐに効果を実感できなかった人でも、視力がよくなっていると実感を得られているようです。

角膜のクセが付くのが早い人は、この頃から回復した視力が1日以上続くようになってきます。
過矯正となってしまうと遠視のような見え方に繋がりますので、医師と装用時間について相談しましょう。

装着1年

1年目での受診では矯正効果の確認や視力検査、角膜の状態とオルソケラトロジー用コンタクトレンズの状態チェックなどを行います。

3ヵ月毎の定期検査で問題がなければ、視力も安定して不便のない生活を送れていることでしょう。

装着10年

オルソケラトロジーのレンズは、2〜3年で寿命が来ると言われています。
定期検診で医師から取り替えたほうがいいと言われたら、取り替えるようにしましょう。

オルソケラトロジーは日本ではまだ新しい治療法なので、オルソケラトロジーを10年続けているという人はとても少ないかもしれません。

息子さんが年中からオルソケラトロジーを始め、10年使用した方のブログをご紹介します。

「オルソケラトロジー歴10年の子供の体験記」より

オルソケラトロジーは夜のみのため、ほこりが目に入ったりすることも少なく、学校にいる時の様な汚れた手で触ってしまうこともありません。
オルソケラトロジーを始めてからの10年で、眼球に傷がついたことはありません。
出典:http://blog.livedoor.jp/

おわりに


オルソケラトロジー専用のレンズをはめて眠るだけで日中は裸眼で過ごすことができるというのは画期的ですよね。
視力回復したいけどレーシック手術に抵抗がある人、裸眼でスポーツを楽しみたい人にオススメの治療方法です。

オルソケラトロジーについて実践するか迷っている・続けられるか自信のないといった人向けに、治療を始める前にトライアル期間を設けている病院もあります。
ぜひ実際に試してみて、その効果を体験してみてください。

最終更新日:2021/02/26

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