2016/08/21

眼の病気・症状

プールは禁止?子供の霰粒腫(ものもらい)、目薬から手術まで治療法を紹介!

ものもらいと一口に言っても、霰粒腫と麦粒腫という2つの種類があります。 ここでは、霰粒腫の症状や治療法について紹介します。

麦粒腫と霰粒腫とものもらいの関係は?

麦粒腫と霰粒腫は似ているのですが、違いがあります。
それぞれの特徴について見て見ましょう。

脂が溜ってしまった霰粒腫(さんりゅうしゅ)

麦粒腫と霰粒腫
出典:http://www.kiriyama-ganka.com/

まつ毛が生えているところよりも眼に近い部分に、小さな点々があります。
ここはマイボーム腺の開口部で、ここから油分が分泌され眼を覆ってくれることにより外界からの刺激から守ってくれるのです。

この油分が少なくなると、眼の水分が直接蒸発することによってドライアイになってしまいます。
霰粒腫はここに脂が詰まってしまうことによって起こります。
痛みや痒みは少しありますが、特に治療しなくても治ることがあります。

しかし、段々大きくなったり、しこりが気になったりするようであれば、手術することもあります。

膿(うみ)が出る麦粒腫(ばくりゅうしゅ)

黄色ブドウ球菌の様子
出典:https://nice-senior.com/

まぶたの外や内側にできた炎症のことを麦粒腫と呼びます。
原因は主に、常在菌と呼ばれている黄色ブドウ球菌などです。
体力が落ちていたり、寝不足が続いていたりすると、免疫力が低下して感染してしまうのです。

これは、霰粒腫を発症していたところに、後から黄色ブドウ球菌が感染してしまうことによって起こることもあります。

霰粒腫になったらプールに入ってもいいの?

学校のプールは、子どもにとって楽しい時間のひとつかもしれません。
もし霰粒腫になったときには、プールに入ってもよいのか?説明します。

プールは衛生的に大丈夫?

プール
学校保健安全法の中に学校環境衛生基準があります。
その中で、「水泳プールに係る学校環境衛生基準」において水質や施設・設備の衛生状態を管理するための詳細が書かれています。

プールの水は遊離残留塩素やpH値、細菌検出や有機物などに対して、基準が設けられています。
遊離残留塩素とは、殺菌効果のある塩素系薬剤を使い、殺菌や分解をしても水中にまだ残留している有効塩素のことを残留塩素と言い、次亜塩素酸・次亜塩素酸ナトリウムのことを特に遊離残留塩素と呼びます。

この遊離残留塩素については、「細菌やウイルスなどのプールで感染する可能性のある病原体に対して消毒効果を得るためには、0.4㎎/L以上が必要である」と記されています。

ブドウ菌をはじめ、ジフテリア菌や肺炎双球菌、大腸菌などについては、遊離残留塩素濃度0.1~0.25㎎/L以下で死滅することから0.4㎎/Lあれば、十分に不活化したり殺菌したりすることができるのです。

ですから、プールは衛生的に十分安全管理をされている環境なのです。

遊離残留塩素
遊離残留塩素はプール水の消毒管理の指標であり、一定濃度の保持は、感染症予防等プールの衛生管理において重要な意義をもっている。

細菌やウイルス等のプールで感染する可能性のある病原体に対して消毒効果を得るためには0.4mg/ℓ以上が必要である。
出典:http://www.mext.go.jp/

プールは休んだほうが良い

プールに入ることは霰粒腫の場合、炎症を起こしているわけではないので衛生的には問題はありません。
また、霰粒腫でも麦粒腫の場合でもプールに入ることによって周囲に感染するということはない、伝染病ではないということです。

霰粒腫になる原因としては、栄養状態やホルモンバランスの悪化などがありますが、これといったそれはわかってはいません。
そして、プールでは体力を消耗してしまうため、治りが遅くなることもあります。

また、顔に付いた水を手で拭くときに患部を触ってしまい、さらに症状を悪化させてしまうこともあります。
できればプールは休んで、早く霰粒腫を治すように体力を整えることが必要です。

霰粒腫の治療にはどんな方法があるの?

霰粒腫は炎症を起こしてはいませんが、そこに炎症を起こすと化膿性霰粒腫となります。
そうならないように注意することが必要です。

目薬を使う

目薬を差す
霰粒腫の場合は、感染を起こさないように抗生物質入りの点眼薬(クラビット・タリビットなど)を使用します。
しかし、この薬が霰粒腫を治すわけではありません。

あくまで、感染を予防するという目的で使用されます。

眼軟膏を使う

眼軟膏
出典:www.geocities.jp

眼軟膏ではステロイド入りのものが使用され、霰粒腫に炎症が起こってしまった場合に使用されます。
これでも治らない場合には、手術に至ることもあります。

薬を飲む

薬
セフゾンなどの抗生剤を内服して、身体の内側から炎症が起こらないように抑えることもあります。
処方された薬は、しっかりと決められた方法で内服するようにしましょう。

手術して治す

手術
場合によっては、まぶたの上からステロイド剤を注入することもありますが、それでも治らない場合には手術となります。

炎症を落ち着かせる

もし霰粒腫に炎症がおきている場合は、抗炎症作用や消炎鎮痛作用のある目薬や眼軟膏、内服薬を使用します。

そして、炎症症状が落ち着いたところで麻酔をかけて手術を始めます。
炎症を起こしていない場合は、すぐに手術することもあります。

麻酔をかける

まずは、目薬による麻酔を行います。
その後、まぶたに注射をしてしっかりと麻酔を効かせます。

これを行うことにより、切開するときには痛みを感じることはありません。

切開した後に縫合して終了

手術
(1)まぶたの上、もしくはまぶたの裏から切開して脂肪の塊とそれを包んでいる皮膜を除去します。
(2)その後、切開した部分を1針から3針程度縫い合わせます。
(3)自宅へは、外気から保護するために眼帯をして帰ります。
(4)手術後、傷口の確認をしながら3日後には抜糸をします。

手術時間は15分程度ですが、もしこの段階でしっかりと除去できなかった場合は、再発を繰り返すこともあります。

傷が目立つのではないかと不安に思う方もいるかもしれませんが、まぶたのシワや二重のラインに沿って切開して目立たないように工夫してくれます。

また、切開した部分が皮下出血を起こすことがありますが、1週間程度で治ります。
手術後についての洗顔やコンタクトレンズの使用などについては、医師の指示に従いましょう。

自然治癒することも…

治癒
霰粒腫は特に何もしなくても治ることがある病気です。

しかし、そのまま放置し続けると炎症を起こすこともあります。
できれば、1週間ほどしても改善されないようであれば、眼科を受診されることをおすすめします。

まとめ

診察
いかがでしたか?

眼にできものができると自分自身も不快に感じるとともに、周囲の目が気になってしまうもの…。
気になった時に、眼科に行って相談してみてはいかがでしょうか?

最終更新日:2021/02/18

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