2016/09/14

眼の病気・症状

弱視と診断されたけど、弱視って治るの?弱視の原因、治療法まとめ

弱視とは何か、ご存知ですか?名前を聞くことはあっても、どんな病気なのかはっきりわからない方がほとんどかと思います。簡単に説明すると、弱視とは眼鏡やコンタクトレンズをしても視力が(1.0)ない状態です。では、もし3歳児検診や学校の検診で弱視と診断されたらどうしたらよいのでしょうか?今回は弱視の原因や治療法について説明していきます。

弱視とは?

通常の見え方
出典:http://www.kyoto-lighthouse.or.jp/
弱視の見え方
出典:http://www.kyoto-lighthouse.or.jp/

生まれたばかりの赤ちゃんはほとんど目が見えていません。
しかし、成長に伴い視力は徐々に向上してきます。
個人差はありますが、成長のはやい子供では3歳で視力(1.0)まで検査できることもあります。

なんらかの原因で視力の発達が妨げられ、成長しても視力が(1.0)まででない状態を弱視といいます。

弱視の見え方は、種類によっても違いますが、物がピンボケの状態で大まかな形はわかるが、細かい文字などは分かりにくい、という状態です。

写真は、正常な見え方と弱視の見え方を表したイメージです。

弱視の原因

では、弱視になるのはどのような原因が考えられるのでしょうか?

まず原因として思い浮かぶのが「遺伝」です。
しかし遺伝には、はっきりとした因果関係はわかっていません。

ただし、弱視の原因となりうる強い遠視や乱視は、遺伝しやすい傾向があります。

弱視の主な原因は、成長の過程においてなんらかの障害により、視力の発達が妨げられることです。
妨げる原因により、いくつかの種類に分類することができます。

斜視弱視

斜視が原因で起こる弱視です。
斜視になっていない方の目は視覚刺激をうけて視力はでますが、斜視になっている方の目には像が網膜に鮮明にうつらずに弱視になります。

形態覚遮断(けいたいかくしゃだん)弱視

生まれた時に白内障や眼瞼下垂(がんけんかすい)などの病気があり、そのために視覚刺激を網膜にうつすことができず、視力の発達が妨げられている弱視です。

眼瞼下垂とはなんらかの原因で瞼を引き上げる筋肉が正常に機能せず、瞼が開けにくい状態のことです。

眼科下垂
出典:http://www.takasu.co.jp/

屈折異常弱視

強い遠視や乱視があり、網膜に鮮明な像を結ぶことができないためになる弱視です。
だだし、近視の場合は度が強くても近づければ網膜に鮮明な像を結ぶことができるため、近視のみが原因で弱視になることはほとんどありません。

不同視(ふどうし)弱視

左右の度数に大きな差があることにより、度数の強い方の目に鮮明な像を結ぶことができないためになる弱視です。
一般の学校検診でみつかる弱視はこの不同視弱視が多いです。

弱視の治療方法

弱視の治療の鉄則は「正しい屈折矯正」をして「使われてなかった目を使っていく」ことです。
弱視治療は、弱視を発見した年齢が早ければ早いほど、効果も期待できます。

視覚の感受性期について

※視力の発達の感受性期とは
 もともと、人間は生まれたときからはっきりものが見えているのではなく、生まれた後に外界からの適切な視覚刺激を受けることによって発達します。
外界からの刺激によって脳の神経回路が集中的に作られる時期のことを感受性期といいます。

 人間の視覚の感受性は、生後1か月から上昇しはじめ1歳半ごろにピークに達し、その後徐々に減衰してだいたい8歳ごろまでに消失すると考えられています。
この感受性期は、弱視の治療効果にも影響しやすい時期といえます。
いいかえれば、感受性の高い時期ほど弱視治療に対する反応が良く、感受性が減るほど治療に対する反応が悪くなります。
出典:http://www.nichigan.or.jp/

正しい屈折矯正をする

弱視治療の一番大事なポイントです。
まずは弱視になっている目が、どのくらいの遠視や乱視があるかを測定して、その度に対する屈折矯正を行っていきます。

ただし子供の目は、ピントを合わせる力(調節力)が非常に強いため、正しい度数を測定するためには、「調節麻痺剤」を使用しなくてはいけません。

どの種類の調節麻痺剤を使用するかは眼科医が選びますが、通常1~2日、強力な調節麻痺剤においては2週間程度ピントがぼやけたり、眩しく見えたりする症状が続きます。

眼鏡

弱視治療で屈折矯正をするための一番基本な道具です。
調節麻痺剤を使用して得られた度数を参考に、治療に必要な眼鏡の度数を決定します。

使用する眼鏡は度が強くなることが多いため、子供がかけたがらなかったり、親がかけさせるのを嫌がったりすることがあります。

子供が眼鏡をかけたがらない場合は、親が一緒に眼鏡をかけてみる、かけている子供を褒めるなどして、子供にかける気を起こさせることが重要です。

親がかけさせたがらない場合は、子供が将来視力が上がらず困ることを説明して、理解してもらうことが大切です。

コンタクト

強い遠視がある赤ちゃんや、先天性白内障の手術により水晶体を取り出した赤ちゃんには、コンタクトレンズによる屈折矯正が必要です。

その理由は、赤ちゃんは眼鏡をかけておくことが出来ないからです。

ただし、コンタクトレンズはしっかりと管理しないと目にトラブルを起こしやすいので、病院と親が協力し合って管理をしていくことが重要です。

補助について
弱視の診断がついた9歳未満の子供には、弱視眼鏡に保険が適応されます。

上限はありますが、弱視治療の眼鏡やコンタクト代のおおよそ7割が返ってきます。

住んでいる地域によっても少し違いがあるようなので、お住まいの社会保険事務所か、各市町村健康保険窓口に事前に確認しておくと良いかも知れません。

アイパッチによる弱視訓練

弱視治療のための眼鏡を作製しても、それだけでは弱視治療の効果は上がりません。

なぜなら、良い方の目ばかり使っていたため、たとえ眼鏡をかけても悪い方の目を使うようにはならないからです。

弱視治療のためには、アイパッチによる遮蔽(しゃへい:良い方の目を隠す)が必要になってきます。

出典:http://www.nichigan.or.jp/

アイパッチとは、弱視治療のために目にシールで貼る眼帯のようなものです。

直接目に貼るのが一番効果的ですが、目がかぶれてしまう、どうしてもつけたがらない場合は、眼鏡の上からするタイプもあります。

手作りするなど、親の協力が不可欠

子供は当然、良い方の目を隠されることを嫌がります。

そのためアイパッチをしてもらうためには、シールの上から子供の好きなキャラクターを書く、アイパッチをした子供を褒めてあげるなど、親の協力が不可欠となります。

アイパッチの期間

アイパッチをどのくらいの時間するべきなのかは、眼科医と相談して決めていくことになりますが、弱視の程度が強いほど、1日に訓練する時間が長くなります。

集中力を持続させるのが難しいため、弱視訓練の間は、テレビやゲームをしてもらってでも物を見てもらう必要があります。

定期検査

弱視治療中は、病院への定期検査が必要です。
勝手に治療を中断したり方法を変えてしまうと、効果がでなくなることもあります。
どのくらいのペースで通うのかは、眼科医と相談して決めます。

視力のチェック


弱視の治療効果がでているかをチェックするのはもちろん、アイパッチをすることで、良い方の視力が低下していないかもチェックします。

弱視訓練の効果が弱い場合には、アイパッチの時間を長くするなど、治療方法を考え直す必要があります。

度数のチェック

視力だけでなく、成長に伴い度数も変わってきます。
度数も定期的に調節麻痺剤を使用してチェックします。
度数がかわっていれば、眼鏡を作り変える必要があります。

まとめ

弱視の原因、治療法についてまとめてみました。

弱視を治療する上で、眼鏡をかけることやアイパッチをすることも大切ですが、なにより親と子、病院が協力し合い、子供のやる気を起こさせることが重要です。

子供が弱視といわれても、早期発見であればあるほど視力が改善する期待も高いので、諦めずに医師の指示のもと治療を継続していくことをおすすめします。

カテゴリー:眼の病気・症状
最終更新日:2021/11/25

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