2016/08/23

眼の病気・症状

近視は加齢とともに回復することがあるって本当?!

近視の度数が強くて、メガネやコンタクトレンズを使わないと物が見えにくいという方も世の中にはたくさんいらっしゃいますね。しかし、加齢とともに近視が回復するという話も聞きます。実際はそれが本当なのか気になりますよね。果たして近視は加齢によって回復するのか検証しました。

近視とはどんな状態か

近視とはどんな状態か
出典:http://www.me-kaiteki.com/refraction-accommodation/myopia/

近視は、光の焦点が網膜よりも手前で結ばれてしまうために、網膜にピントがあわない状態のことです。
近視の症状として代表的なものは、近くははっきり見えるけれど、遠くの字や物がぼけて見えるということがあげられます。
網膜で焦点が結ばれない原因には、角膜から網膜までの長さ(眼球の長さ)が正常よりも長い場合(軸性近視)と、角膜や水晶体の屈折力が大きすぎる場合(屈折性近視)があります。
このうち、角膜から網膜までの長さ(眼軸長)は遺伝的に決まるとされていますが、現在でも詳しい遺伝形式の解明はされていません。
角膜や水晶体の屈折力も、後天的な影響の他に遺伝的なものも関係していると考えられていますが、こちらも遺伝の形式は解明がされていないのです。

眼軸長の伸びと近視の進行の関係性

近視が進行する原因には、眼球の長さや角膜、水晶体などいろいろな部分が関係していると考えられます。
その中でも近視の進行に大きな影響を及ぼすのは眼軸長の伸びだと言えます。
体が成長と同じように眼球も成長します。
そのため学童期が眼軸長が特に長くなり、近視になりやすい時期だとされています。
眼軸長の伸びは10代までの期間が著しく、20代後半になるとほとんどの人がとまってきます。

近視の人は加齢によって視力が回復してくるって本当?!

ワンポイント
このように「近視」とは、遠くの物が見にくい目の症状のことを指しますが、歳を取るにつれて近視の状態が回復して遠くが見やすくなってくるというのは本当なのでしょうか。
症状の程度に差はありますが、歳を取ると誰にでも「老眼」の症状が出てきます。
老眼というのは、手元など近くの物が見えづらくなり、逆に少し目から離した位置にある物の方が見やすいといった症状が出ます。
ですから、近視の人の場合は遠くが見えやすくなってくることから、加齢とともに近視が回復したと感じられるというわけです。

近視と老眼の関係

「近視の人は老眼にはならない」ということを聞いたことがありませんか?
しかし、近視でも老眼になることはあるというのが正解で、老眼鏡を必要としない場合もあるという程度なのです。
老眼とは水晶体の硬化なので、近視の人も歳を取れば同じように水晶体は硬くなります。
しかし、その状態でももともと近視の人は近くが見えやすい傾向があります。
近視の人がメガネやコンタクトレンズで矯正をしている状態は、近視でない人の見え方と同じ状態です。
やがて老眼になってくると、近くの物より離れた物が見えやすくなるので、離れた物を見えやすくする矯正であるメガネやコンタクトレンズを外した方が近くが見えやすくなるのです。
そのため、正視の人と比較すると老眼鏡が必要になってくる時期が遅いので、近視だと老眼になりにくいと言われているのです。

「夕方近視」という症状もある

夕方
日中はよく見えても、夕方になると見えにくくなったり、目がかすむなど、夕方になると視力が下がってしまうような経験はありませんか?

そのようにまるで近視になったように感じる現象は「夕方近視」や「夕方老眼」と呼ばれています。
夕方になると本当に近視になってしまうわけではありません。
一時的な現象で翌日には元に戻るものなのです。

夕方近視の症状

夕方近視の症状として次のようなものがあります。

・夕方になると目のピントが合わなくなりがち
・夕方になると遠くがぼやけて見えるようになる
・物を見ることがつらくなり、作業効率が低下する
・目の疲れを感じる
・コンタクトレンズの度が合わなくなってくる
など

このような症状を感じる場合は夕方近視の可能性があります。

夕方近視になる原因

眼の不調
夕方近視が起こる主な原因は目の使い過ぎです。
1日のうち長時間パソコンで作業をすることが多かったり、細かい作業などを行っている場合は目のピント調節を行っている「毛様体筋」が緊張したままになります。
毛様体筋が緊張して硬くなっていると、遠くにピントが合わせづらくなってしまうのです。
そのため時間と共に物が見えにくくなってきてしまうということになります。

毛様体筋の緊張をほぐすには

アイマスク

  • こまめに遠くを見るようにする
  • パソコンなどでの作業中は1時間に1回、10分程度の休憩を入れる
  • 軽いストレッチや伸びを行って体の血行を良くする
  • 目の血行を良くするために蒸しタオルなどで目を温める

まとめ

近視というのは病態なので、加齢によって自然と回復するというものではありません。

歳を取ってから近視の方が近くの物を見る時に、かけていたメガネやコンタクトレンズがない方が見やすいと感じるようになったら、それは老眼が始まったということなのです。

歳を取ると誰もが老眼の症状が出始めますが、近視の方は老眼鏡を使わなくても間に合うというだけで、老眼になりにくいということとはまた別だと考えてみてください。

カテゴリー:眼の病気・症状
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最終更新日:2021/02/18

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