
網膜剥離の手術後、充血がみられるのは何故?これって大丈夫?
網膜剥離の手術後は、ほとんどの例で充血がみられます。しかし、これは手術の過程や治療のためにどうしても起こってしまうことなのです。今回は、なぜ手術後に充血がみられるのか、それがどういう意味をもつのかをご紹介していきます。
目次
網膜剥離の手術とは?
硝子体手術をする

網膜剥離の手術では「硝子体(しょうしたい)手術」という手術が行われます。
目の中には、硝子体というゼリー状の器官で満たされています。
これは眼球の形を保つ、入ってくる光を屈折させるなどの働きがあります。
硝子体は目の一番奥にある網膜と一部くっついていますが、ゼリー状の成分は経年変化によって水っぽくなり、可動性が上がります。
そうすると、網膜をひっぱってしまって、網膜が剥がれてしまうのです。
この他、軸性近視といって目の奥行が長くなることで強い近視になる目の病気でも、網膜は硝子体に牽引されることになるため、網膜剥離が起こりやすくなります。
この牽引の原因となる硝子体を取り除くのが「硝子体手術」です。
手術の方法は?

目の中で作業するために、手術では白目に3ヶ所穴を開けます。
1つは眼圧を調節するために水を灌流させるカニューレ、1つは真っ暗な目の中を照らすためのライト、1つは硝子体カッターやピンセットの挿入のためです。
眼球に灌流(かんりゅう)液を注入しながら、網膜を引っ張っている硝子体を取り除きます。
網膜の前に薄い膜がはっている場合は、その膜をはがして切り取ります。
必要な場合には、眼内にレーザー光凝固を行います。
網膜剥離手術の場合には、空気を注入し、空気の浮力を利用して、はがれた網膜を元に戻します。
必要に応じて、特殊なガスやシリコンオイルなどとも置きかえます。
ガスで満たされるから充血する

硝子体手術では、硝子体を取り除いた代わりに目の中をガスで満たします。
手術自体は網膜を牽引している原因となっている硝子体を取り除くだけで、剥がれた網膜を付着させるのは自然治癒力です。
ガスによる圧力をかけることで網膜を目の奥にしっかり付着させて、網膜が元通りになるのを待ちます。
ガスによる圧力で血管も多少圧迫されます。
そのため目の血液は滞りやすく、充血しやすくなっています。
つまり、充血しているということはガスが正しく入っていているということであり、治療効果があるということになります。
ですので、手術後の充血で不安になる必要はありません。
治療のために目に穴をあけてガスで圧迫するので、術後充血するのは仕方のないことです。
2週間もすれば自然に治るでしょう。
手術後の充血した目で気を付けること
目をこすらない

手術のために穴を開けるので、目の粘膜には傷がついている状態です。
出血しやすく、また細菌感染も起こりやすくなっています。
転んで擦りむいたところを、汚れた手でごしごし擦ることはしませんよね。
それと同じで、極力刺激せず、細菌やウイルスが付いているかもしれない手で傷を触らないようにしましょう。
細菌が傷口から入って炎症などを起こすと、最悪の場合、失明してしまう恐れがあります。
どうしても擦りたくなった場合は、目薬を注すなど、刺激を与えないようにしましょう。
処方された薬をきちんと使う
手術後は細菌感染予防のため、抗生物質と炎症によるかゆみや痛みを抑える消炎剤が処方されます。
これらは即効性のあるものではありませんが、合併症や症状を抑える薬なので、早く治すためには欠かせません。
充血は3~4日では治まりませんが、諦めないできちんと医師の指示通り薬を使いましょう。
まとめ
充血している目は見ると痛々しいですが、これは徐々に病気が治っている証拠でもあります。
完治するまで我慢しましょう。
硝子体手術は1割負担で片目40000~50000円ほど、所要時間は約1時間(重症の場合は2時間)です。
あくまでも参考なので、手術を受ける場合はよく医師に確認を取ってください。
網膜剥離は悪化すると失明する恐れがある重篤な病気です。
放っておかず、すぐに眼科に行きましょう。
最終更新日: 2016-12-21
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