2016/09/16

眼の病気・症状

緑内障は予防できる!改善すべき生活習慣とは?

「緑内障」という病名はよく耳にしますが、初期のうちは自覚症状があまりないため、発症していても気づかないことが多い病気です。しかしそのまま放っておくと最悪の場合、失明してしまうこともあるので、早期発見や治療が大事になります。こちらではそんな緑内障を予防するにはどのような方法があるのか解説します。

緑内障ってどんな病気?

眼の違和感
緑内障は徐々に視野が欠けていく目の病気で、時には失明してしまうこともあります。

40歳以上の人に多く見られ、日本全体では約350万人の患者がいると推測されています。
これは視覚障害の原因第1位の病気になっているほどですが、初期段階では自覚症状があまりありません。

そのため実際は緑内障になっていても、眼科を受診している人がかなり少ないというのが実状です。

緑内障の症状

緑内障は「眼圧の高低」「発症年齢」「原因となる外傷や病気などの有無」などの要素により、いくつかの種類に分類されています。
その中には、症状の進行のスピードで分類されるものもあります。

進行のスピードによる分け方には、突然発症して急激に悪化する「急性緑内障」と、40代以上の人に多い「慢性緑内障」の2種類があり、症状にも違いがあります。

急性緑内障の症状

目の痛み
急性緑内障の主な症状には、激しい目の痛み、頭痛、目の充血、視力低下、嘔吐、発汗などがあり、突然激しい症状に襲われます。

しかしこれは脳や内科系の病気が疑われるような症状なので、緑内障の症状とは気づかないまま治療が遅れてしまう場合もあります。

慢性緑内障の症状

不調
慢性緑内障は急性緑内障と違って、かなり進行してからでないと自覚症状が出ないとされています。
特に深刻な症状として、視野が狭くなる、視界の一部が見えなくなる、といった「視野欠損」があります。

しかし片目だけに症状が出た場合健康な目の方が視界をカバーしてしまうので、すぐに気づかない場合が多いのです。
そして治療が遅れて眼圧が極めて高い状態になった場合、目の奥が痛んだり、吐き気や頭痛といった症状が出ます。

そうしたことから、発症していても治療を行っていない人が多い目の病気とされていて、中途失明原因の第1位になってしまっているわけです。

原因とされていること

眼の断面図
出典:https://www.inouye-eye.or.jp/

緑内障の要因には「眼圧の高まりによる視神経の破損」「血流不足による視神経の衰弱」「外傷により眼圧を制御している隅角(ぐうかく)の損傷」そして「病気や治療薬による副作用」の4つがあるとされています。

眼圧が上昇する原因は、眼球を満たす水分(房水)の流れが悪くなることです。

緑内障予防のための対策

緑内障は初期のうちは自覚症状があまり出ないため、日常生活の中では早期発見や予防は困難とされています。

しかし加齢や近視、喫煙、糖尿病などがあると発症しやすいと言われていて、遺伝的に発症しやすい家系というものが発見されています。
緑内障の原因遺伝子も、現在のところ一部が特定されているのです。

緑内障予備軍のうちに早期発見を

緑内障病型別潜在患者の割合
出典:http://www.ryokunaisho.jp/

早期発見・予防が難しいとされている緑内障ですが、近年40歳以上の17人に1人が緑内障を発症しているとされています。

そのうち実際に治療を受けているのは2割程度で、それ以外の8割は発見されていない状況です。
そのように気づかずに放っておいてしまい、発見が遅れる分だけ視野の欠損が進行して失明寸前になることも少なくありません。
「緑内障予備軍」のうちに自覚を持って改善や予防を心がけるようにしましょう。

緑内障予備軍チェック

次の項目のうち4~5個以上当てはまる場合は、緑内障予備軍の可能性があります。
3個以下しか当てはまらなかった場合でも危険性はゼロではないので、予防を心がけましょう。

・現在40歳以上
・電気をつけていても暗いと感じることがある
・常にストレスを感じている
・極度の近視である
・時々目が痛い
・いつも眼精疲労を感じている
・充血しやすい
・クマがある
・偏頭痛持ちである
・慢性的な肩こりや首こりがある
・ときどき目がかすむ
・極端に視力が落ちたような気がする
・親族に緑内障患者がいる
・夏でも手足が冷たい
・汗をかきにくい

眼圧を押し上げる生活習慣を避ける

確認
緑内障を発症する要因の1つとして眼圧の高まりがあげられていますが、日ごろの生活の中で眼圧を上げないようにする心がけも重要です。
ネクタイをきつく締めすぎないようにする、カフェインの摂取はほどほどにする、うつむいた姿勢で長時間作業を続けないようにするなど、日ごろの生活習慣を見直す必要があります。

サングラスや紫外線カットのメガネの着用

サングラス
緑内障の中には「正常眼圧緑内障」というものがあり、日本では発症の多い緑内障とされています。
こちらの主な原因として、眼球内の細胞が紫外線の影響で酸化ストレスを長い期間をかけて受けることがあげられます。
その予防には、サングラスや紫外線カットのメガネの着用が有効とされています。
サングラスにはさまざまな種類がありますが、緑内障予防のためには紫外線を100%カットするものを選びましょう。

食生活の改善による方法

緑内障症を発症してしまった場合は、生活習慣だけで改善することはできません。
しかし進行を遅らせたり、予防するという意味では、生活習慣を改善することは重要なのです。

食事内容の改善

糖分
食生活の改善で最も重要なのは、糖分の過剰摂取を控えるということです。
糖分の過剰摂取は血液中の糖分を増やし、目の血管に異常をきたすことがあるのです。

糖分と脂肪分を同時に摂ることが多いと体内に脂肪がたまり、血液がドロドロになりやすくなります。
これが原因で目の血行不良が起こって、緑内障を引き起こしやすくなるのです。

そしてアルコールも控えるようにしましょう。
肝臓が弱ると免疫力が落ちるため、房水(目の中を循環する液体)内の汚れが増えて、隅角や繊維柱帯(房水の排出口)の詰まりの原因になる可能性があると指摘されています。
そのため、肝臓をいたわるように努めることが大事なのです。

効果が期待される食品

目にいい食べ物
出典:http://www.bee-lab.jp/

目に良いとされている食べ物を努めて食べるようにすることも緑内障の予防には効果があるとされています。

目に良いとして、最近知られるようになったアントシアニンという栄養素がありますが、これはカシスやブルーベリーなどに多く含まれています。
それからタウリンや亜鉛といった栄養素も目に良い効果を与えるとされています。
それらが多く含まれている食べ物といえばアワビがあげられますが、昔から目に良い食べ物と言われてきたものです。
さらにルテインやビタミン類も目に良い栄養素とされているので、日ごろから積極的に摂取したいものです。

サプリは効果的?

サプリメント
一旦緑内障を発症してしまうと、サプリで改善させるというのは難しいと言えます。
ただし予防を心がけるにはサプリも有効でしょう。

生活習慣の見直しや運動による方法

疲れ・不調
緑内障の予防には、日常生活の中で起こる眼精疲労を回復させることも大事です。

眼精疲労の大きな原因として眼の使い過ぎがあげられます。
スマホやタブレット、パソコンの長時間の使用は控えるようにしましょう。
画面を凝視することでまばたきが減るのでドライアイの危険もあり、目の筋肉の運動が少なくなって、目の血行も悪くなります。

さらに、スマホやタブレットからのブルーライト対策を行うことも必要です。
パソコンやタブレットを使う時間が習慣的に長いという場合は、ブルーライトを軽減するフィルターや、ブルーライトをブロックするメガネなどを使いましょう。

白内障手術による方法

白内障が進行して視力の低下やかすみ目などの症状が出たために、病院を受診した際に緑内障が発見されることがあります。
緑内障はかなり悪化しない限り自覚症状がないので、発見が困難なためです。
そのような時には白内障の手術を行った方が良い場合があるのです。

「閉塞隅角緑内障」と言われるタイプの緑内障の場合は特に、白内障手術が効果的だとされています。
それは「閉塞隅角緑内障」による隅角閉塞が白内障手術で軽減できることがわかっているからです。

緑内障になってしまった場合の治療法

医師
緑内障の進行を遅らせる方法はあっても、欠けた視野を回復する方法は現在のところまだわかっていません。
確実に症状の進行を阻止できる方法というものも、今のところはないと言えるでしょう。

しかし現在のところ次にあげるような対処法が分かっているので、それらによって悪化させないようにすることが大事です。

東洋医学による方法

漢方

漢方
出典:http://mkc-kyoto.com/

目に症状が出ているのは肝臓が弱っているためと考えられており、弱っている肝臓をいたわる成分や、肝臓の働きを助ける成分を摂ることで目の症状が改善するという理論があります。

ツボ

緑内障の原因には、血行不良によって視神経が弱くなるということがあります。
ツボ刺激により血行を促進させることで、緑内障の予防や改善が期待できるとされています。

西洋医学による方法

点眼薬

点眼薬
緑内障を治療するための点眼薬には4つの種類があります。
眼圧を高くしてしまう房水の産生を抑えるもの、隅角からの房水の排出機能を高めて眼圧を下げる効果を期待するもの、隅角以外(主にぶどう膜)からの房水の排出を促すもの、視神経の働きを良くして緑内障の進行を食い止めるものの4種類となっています。

内服薬

点眼薬だけで効果が出ない時や、手術を控えている時などは、短い期間で内服薬による治療を行うことがあります。
内服薬には大きく分けて2つのタイプがあります。
1つは「多炭酸脱水酵素阻害薬」といって、房水の産生を抑制させることで眼圧を下げる薬です。
もう1つは通常は血圧をコントロールする薬として使われますが、その血管拡張作用を利用し、視神経周囲の血流の改善効果を期待して服用する「カルシウム拮抗薬」という薬があります。

レーザー

レーザー治療の代表的な方法には2つあります。
目の器官の隅角にある「線維柱帯」というフィルターに細かい細胞のカスなどが溜まり、房水の流れが悪くなってしまうことで眼圧が上がります。
よって、この房水の排出不良を解消する手段の1つとして、虹彩に孔をあけて房水の流れるバイパスを作る「虹彩切開術」を行います。

もう1つは、強いレーザーを当てて、フィルターの役割をしている線維柱帯の中に詰まってしまった、細胞のカスを蒸発させて通りを良くする「レーザー繊維柱帯形成術」という方法です。

手術

手術
緑内障の治療には手術も行われます。
代表的な手術として、眼球内の房水の排出口である繊維柱帯を切開して拡げる「繊維柱帯切開術」や、詰まってしまった繊維柱帯を切り取ってバイパスをつくり、房水を外に出す「繊維柱帯切除術」などがあります。

ただし、手術はハイリスクハイリターンの治療となるので、医師はもちろん家族ともしっかり相談して納得の上で臨むようにしましょう。

まとめ

目の症状
緑内障は症状が悪化してからでないとなかなか発見しづらい病気で、しかも発見できた時にはかなり進行してしまっている場合も少なくありません。
そうなる前に、日ごろから緑内障を発症させないような生活習慣や食生活などを心がけたいものです。

カテゴリー:眼の病気・症状
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最終更新日:2021/02/18

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